## 強制執行停止 ##

金銭請求の判決には仮執行宣言がつくことが多いです。
仮執行OKということはどういうことでしょうか。
敗訴者側の控訴によって判決が未だ確定していなくても預貯金の差し押さえなど強制執行に着手できるということです。

これは権利者に早期に権利を実現させるという目的に資する制度です。しかし一方で控訴審を戦う前に大事な財産を差し押さえられてしまってはたまったものではありません。もしメインバンクの預金を差し押さえられて大事な支払いが遅れたり,資金を引き出せなくなったら商売をしている方には致命傷になりかねません。

控訴審で結論が逆転することだって十分ありうるのに強制執行されるのを甘受しなければならないのでしょうか。
そんなときは控訴と同時ないし近い時期に強制執行停止の申立てをします。
一審判決の認容額を前提としたそれなりの金額を担保として供託させられる負担はありますが,控訴審で判決が変わる可能性がある程度見込めるときには強制執行停止決定を出してもらえます。

仮に強制執行が開始されてもこの強制執行停止決定の正本を執行機関に提出すれば強制執行は停止されます。
強制執行を停止するという裁判所の出した決定を,強制執行をしている裁判所に提出する,裁判所が出したものを裁判所に提出する,という手間暇をかけなければならないのは少し変な感じがしますがそれぞれが別の裁判所で進行することもあるため必要な手続です。
裁判所内各部署間での情報共有のシステムが整備されていけばひょっとして将来的にこの問題は解消するかもしれません。しかしそもそも繊細な情報を扱うので単純に共有できない問題もあるんでしょうね。
(2014.6.19)