被疑者国選制度

刑事被告人は,いかなる場合にも,資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを附する。
憲法37条3項には以上のように書いてあります。
被疑者,被告人の適切な防御権の行使のためには,必要な法律知識を授け,当人には難しい様々な活動を行ってくれる弁護人の存在が不可欠です。
記憶に新しいところでは,防犯カメラの日時がずれていることを弁護人が気づいて誤認逮捕が明らかになった事件などもありましたね。
弁護人は犯罪の嫌疑を受けたご本人や配偶者等がご自身で探して弁護士に依頼することも出来ますが,貧困やその他の事由で自ら依頼できないときは一定の要件の下,国に弁護人を選任してもらえます。憲法の条文は被告人に限定されていますが捜査段階での弁護活動の必要性の理解が広まり,現在は訴追前の被疑者段階でも国選弁護の対象となっています。
まだ訴追されていない段階,すなわち捜査中の被疑者段階においては,「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」に選任を求めることが出来ます。この長期3年を超える罪には窃盗罪などかなりの犯罪が該当しています。
この被疑者国選弁護制度は,法定合議事件に相当する重い犯罪を対象として2006年に始まり,その後2009年に対象範囲を広げて定着をみました。
広島弁護士会(広島地区会)では1年365日それぞれに数名の弁護士を割り当て,弁護人の選任要請に応える運用を行っています。また,事前に申し出があった弁護士に対して割り当ての担当者に優先して指名を行う制度も併用し,迅速な弁護活動を実現しています。