## 自筆証書遺言の訂正方法 ##

遺言には「普通の方式」として自筆証書遺言,公正証書遺言及び秘密証書遺言の3つの方式があります。
ちなみに「普通の方式」に対して「特別の方式」の遺言というものもあります。死が差し迫った方などが対象ですが「特別の方式」の遺言は「普通の方式」で遺言が出来るようになってから6ヶ月間生存すると遺言としての効力が生じません。
さて,公証人が関与する公正証書遺言に比べ,自筆証書遺言は遺言を残そうとする者が手軽に費用をかけずに作成することができることから人気があります。しかし,その方式に不備があると遺言としての効力が生じないため遺恨を残すことになりかねません。
自筆証書遺言は,遺言者自身が全文,日付,氏名を手書きしてハンコを押す必要があります。日付に関しては作成日を特定する必要から記載が求められているため,平成26年1月吉日というような記載は遺言としては無効です。
自筆証書遺言の訂正方法について民法968条2項は
「自筆証書中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じない。」
と定めており,普段のように二重線で直したつもりになっても効力が生じないおそれがあります。明らかな誤記の訂正に関し,上記の方式に反していても遺言の効力を否定しなかった最高裁判例も存在しますがその射程は明確ではなく,必ずしもこのような救済判決が頂けるとは限りません。
遺言の訂正に関しては上記方式にしたがって慎重に行うか,面倒ですが書き直すことを検討しなければなりません。
遺言として有効であっても,内容や表現によって不動産登記の名義変更にうまく活用できない場合もあります。公正証書遺言を活用されない場合でも,事前に専門家に相談するなどして,確実に自分の想いが形になるように遺言を残しておきたいですね。