赤い本

交通事故を処理する上で必ず弁護士が参照する本に赤い本と呼ばれるものがあります。正式名称は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部)といいます。完全に法曹関係者向けで一般の本屋さんでは普通は売ってません。
この本は東京地裁の実務に基づいた賠償額の基準が記載されており,その他参考となる裁判例が多数収録されています。
交通事故の案件を受けるとこの本に記載された基準に基づき当方請求額を考えていきます。赤い本が絶対的な基準というわけではありませんが強力な基準にはなっています。
保険会社は赤い本基準と同額まで提示してくることはまれなので,どれだけ早期解決を志向するか,裁判を起こした場合にどれくらいの増額が期待できるか,裁判で生じる負担を甘受できるか,そのようなことを考慮し,話し合いで解決するか,裁判を起こすかを決断することになります。

ちなみに青本と呼ばれる「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター)という本もあります。赤い本は毎年出ますが,青い本は隔年です。メジャーなものはこの2冊ですがその他にも緑本などがあります。
(2012.11.10掲載記事に加筆)