## 預金の差し押さえ ##

お金を払えという請求に判決などの裁判所でのお墨付きがつくと強制執行をすることができます。
任意に支払っていただくのが一番ですが様々な事情で支払能力があっても相手が払わないケースは散見されます。
このようなときは強制執行をします。
強制執行の中で比較的やりやすいのは相手の預金債権から回収です。
○○銀行の相手名義の口座を差し押さえて欲しいと裁判所にお願いして決定を出してもらいます。
ここで問題なのは預金債権をどの程度まで特定しなければならないかです。
口座番号までは要求されないのですが,現在の裁判所の運用は支店名までの特定が必要です。
取引金融機関は知ってしても相手の口座がある支店名まで分からない場合も多い。これは回収のネックになってしまいます。
預金額が一番多い支店であるとか,預金がある中で支店番号が一番若いところとか,債権の特定の仕方をいろいろ工夫される弁護士もいるのですが,最高裁は金融機関の負担が多いとのことでそのような特定の仕方には消極的です。
差し押さえの対象となる部分とそうでない部分を間違えて処理してしまうと金融機関が責任を負うことになりかねないのですが,差し押さえが競合することもあるし,ATMやネットバンキングもあって預金はリアルタイムで変動する。
そんなこともあってオンラインシステムで預金を管理していてもなお難しい作業を強いることになるのでよろしくないというんですよね。
もし特定がうまくいってもその口座にお金が入ってなければやっぱり失敗です。判決という紙切れからお金に換えることってとても大変です。
法律事務所に持ち込まれる相談には判決で勝つことが課題となる事件が多いですが
判決の取得は容易でも,そこから先の回収が課題となって悩むことも多いです。
裁判では社会的意義などに価値を見出す事件もありますが,回収できなければ経済面のみをみれば無益でしかありません。
回収可能性の有無は弁護士に相談される際に十分にご検討することをお勧めいたします。
(2013年4月6日掲載記事に加筆修正)