裁判をしない裁判官

裁判官がみんな法服を着て法廷に座っているかというとそういうわけではありません。
最新の統計は分からないのですが10年余り前のデータによると裁判官およそ2113人のうち284人は裁判をしていません。
何をしているかというと事務総局で他の裁判官を管理したり,色々な事務仕事を行ったり,法務省などの行政省庁で勤務したりしています。留学している方もいます。厳密にいうと一時的に裁判官の身分を離れる場合もあります。
事務総局勤務を繰り返す裁判官が同期の中でより早く出世し,最高裁の心臓部ともいえる事務総局のトップである事務総長や最高裁判事は現場たたき上げの裁判官からではなく,事務総局勤務を繰り返した裁判官が選ばれる傾向にあります。
現場で個々の事件を裁くのも大仕事ですが,全体を統括するのはまた別の大仕事という説明でしょうね。
裁判官は憲法により身分が保障されていますが,昇進や任地の部分などで差をつけられてしまうため生身の裁判官は少なからず事務総局の顔色をうかがわざるを得ない現実があるようです。
ここら辺の話は 山本祐司著「最高裁物語」が面白く書いています。講談社から文庫版も出ていますが絶版?ですが中古は出回っています。僕も2006年に中古で買いました。
http://www.nippyo.co.jp/book/187.html
(2014.1.3)