検事失格
市川寛弁護士の検事失格を読みました。
同僚が貸してくれたんですよね。
淡々と事実を語る・・・合間に自分に対する駄目出しが波のように何度も。
語る事実は検察庁内で彼が体験したこと。
本書の大きな幹は
検察庁の風土が問題であること
自分がその風土に毒されたこと
上司が主導した独自捜査がいかにでたらめで,そのでたらめな捜査の責任を背負わされてしまったこと
そのプレッシャーの中で大罪を犯したこと
大罪を犯した自分の守備範囲を見つけたこと
といったところでしょうか?
僕はまだ具体的な映像を思い浮かべつつ本書を読み進めることができましたが
法曹関係者以外だと出だしのあたりから読みにくいでしょうね。
表現自体は分かりやすいというか飾りっ気がまったくない文体なんですが
扱っている内容が独特の世界の話なので行間を補う知識がないと厳しいかも。
気になったのは少なくない箇所で「記憶がない。」となってしまい
語られず仕舞いになっているのですがこれが少し残念です。
記憶がないというのが嘘か本当かという点は
本書の評価に関わるポイントなんでしょうが
精神を病んで検察官時代も前線から外れたことが
1度ならずある方なので仕方がないのかもしれません。
法曹関係者にとっては聞いたことがある話も多いかもしれませんが
元検事の視点で整理して読むのもよいのではないでしょうか。
踏み込んだこともたくさん書いてありますし
名指しに近い形で批判された方々もいるので
今後一波乱ありそうです。
少しドキドキさせられます。
一読する価値はあるのではないかと思います。