## これからの信託 ##

自分が亡くなった後,あるいは自分の判断能力が無くなってしまった場合に備えて,自分や家族の今後のために民事信託の活用が増えてくるといわれています。
信託とはその名の通り,ある目的を実現するために他人を信じて財産を託すことができる制度です。(数年前の改正で自由度が高まって自分に託す設計も認められるようになりました。)
色々な制度設計が可能で細やかな要望に応えることができます。遺言や成年後見制度の利用ではかなえられなかったことが信託の利用で実現できます。

先妻との子どもに最終的に財産を継がせたいが,自分の死後,後妻が不安なく暮らせるようにしたいという希望があるときはどうしたらいいでしょうか。
遺言で後妻の生活を守ろうとすると自宅などを後妻に相続させる必要が出るケースがありますが,後妻が亡くなるとその財産は後妻の親族に相続されてしまう。
これでは先妻の子どもが黙っていません。
このケースは信託で解決できる可能性があります。
自宅を信頼できる第三者(受託者)に自宅や金銭などを信託し,後妻の生存中は後妻の生活に不自由がないように受託者が面倒を見,後妻が亡くなった後は残余財産を先妻の子どもに渡すという信託の枠組を作ることで解決できそうです。

以上は典型的な使い方であり,オーダーメイドで様々な利用法が考えられるところです。
信託を遺言や成年後見と組み合わせることにより老後や死後の財産管理の設計をしていくのが今後のトレンドになっていくはずです。
受託者の選定や税制上のメリットがあまりないことなどの諸問題も残されていますが利用が増えることは間違いなさそうです。

(2013年11月10日掲載記事再掲)