ハーバード白熱教室

NHKにて再放送された

ハーバード白熱教室を見ました。

ハーバード大学でもっとも多くの受講生を集めた名講義が

東京大学安田講堂にまで出張。

マイケル・サンデルによる

これからの「正義」の話をしよう

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

がベストセラーになっておりますが彼の講義であります。

日本では言わずとも感じ取れという文化があり,そのなかでは

ディベートはなかなか根付かないと言われていますが

なかなかどうして,みなさんかなり白熱した議論で面白かったです。

評判になって再放送されるだけのことはありますね。

いろいろありましたが

シンプルでいて深い

印象に残っている問題は

難破した船から救命ボートに乗り込んだ4人の話です。

19世紀にイギリスで実際にあった裁判の話ですが

何が正義かっていうのは本当に難しいですよね。

カルネアデスの板の更に難しくしたような命題ですけど。

僕は正直なところ最終的な結論を持つには至ってません。

だいたいどういう話かっていうと

難破した船に船長と船員2人,

そして今回初めての航海となった孤児の見習い水夫がいて

4人でボートに逃れました。

手元にあった食料を平等に分け

2週間経ちましたが救助される見込みはまだありません。

食料が尽き

孤児は船長らの制止を聞かずに海水を飲み体調を崩しました。

孤児は瀕死の状態に見えました。

船長は船員たちに孤児を殺すことを提案しました。

「俺たちには家族がいて生きて還らなければならない。」

「孤児には家族がいないから悲しむ者もいない。」

一人の船員は反対しました。

しかし,船長は孤児の頸動脈にナイフを刺して孤児を殺し

その孤児の血液と肉で生きながらえました。

殺すことに反対した船員も孤児の遺体を食べました。

3人は救助されイギリスに戻ることができました。

船長と殺人に反対しなかった船員は殺人罪で裁判にかけられることになりました。

さて。

人間の弱さもあり,

刑法的には有罪か?量刑は?という話もあるかもしれませんが

道徳的にどうなんだということをサンデルは投げかけるんです。

正義とは何か,ですよ。